Dancer in the dark ~ビヨークの芸術~

Dancer in the dark
Dancer in the dark

​もう,名作です.
素晴らしい映画.
2000年のデンマーク映画.原題は英語で”Dancer in the dark”

低解像度のセピア色の映像と,テクニカラーな映像の対比

少し古い映画のせいか,監督の意図か,分からないが,全体に低解像度な画像.
大きく分けると2種類の映像があって,セピア色がかった映像と,少し古いミュージカル映画のテクニカラーな映像.
主人公(ビヨーク)は目が見えないという設定ということもあり,現実の方がセピア色で,主人公の空想のミュージカルシーンの方がテクニカラーという使い分け.
現実の方がセピア色というのがなんともシニカルな感覚を与えてくれますし,逆にミュージカルシーンの現実逃避感を上手く対比させているように感じます.

ミュージカルシーンが圧倒的

主人公は目が見えない.あるいは見えなくなりつつあるという設定.
困難なことに直面して,日常のちょっとした音にリズムを感じると,辛い現実から逃避してミュージカルシーンになります.
よく出来たダンスシーンが多いです.
主人公に殺された男性とDuoで踊るシーン.その奥さんと絡みながら踊り歌うシーン.
この映画の中のセリフでも言われていますが,ミュージカルってなぜ登場人物が”突然”踊ったり歌ったりするのか理解できないことがありますが,この映画の場合は逆に説得力を持っています.

My Favorite Things

何度かこの曲が入ります.冒頭あまり上手くない市民ミュージカル(?)のリハーサル,監獄の中で主人公が一人もがき苦しみながら歌う.
コルトレーンに聴かせてみたい.
”サウンド・オブ・ミュージック”が出典になる曲ですが,明るい曲調の割には実はマイナーのワルツ.
トレーンもそういう悲哀というか,現実逃避感みたいなものをこの曲に感じたのかも知れません.
それにしてもビヨークは歌が上手い.

ストーリーも素晴らしい

ラスト近くでカトリーヌ・ドヌーヴとビヨークの会話のシーンが刺さります.
主人公は子供の目の手術のために,苦労してお金を貯めていたわけですが,大家の男性にお金を奪われたので,殺害してしまい,裁判で死刑になってしまいます.その経緯を知ったカトリーヌ・ドヌーヴは減刑のために再審を請求しようとするのですが,その費用が子供の手術代と同額.
主人公はカトリーヌ・ドヌーヴからの申し出を断り,死刑になってしまいます.カトリーヌ・ドヌーヴが尋ねます”なぜ(目の疾患が)遺伝すると分かっていて子供を産んだのか?”.主人公ビヨークは,”抱きしめたかった”と答えます.
う~~ん,凄い映画です.